はじめに
みなさんはテニスのロジャーフェデラーとゴルフのタイガーウッズをご存じですか?
ふたりともそれぞれの世界で超一流の成績を残したスーパースターです。
では、二人はどんな幼少期を過ごしたのでしょうか。
ロジャー・フェデラー・・・子供の頃は自由に練習。いろいろなスポーツを経験
タイガー・ウッズ・・・幼少からゴルフの専門的な教育を受けるゴルフエリート
どちらも競技の頂点に君臨していました。
どちらがいいのでしょうか。
結論
多様な経験をしたほうが良い。
これはスポーツにかぎらず、キャリアやその他のことにおいても同様のことが言えます。
複雑な世界において、早期に専門を決めて取り組むよりも、いろいろな経験を積んで多様な価値観や見方ができるようになることが大切なのです。
コンテンツ
1章 早期教育に意味はあるか
ゴルフやチェスのように、同じ局面が何度も現れてすぐに結果を検証できる場合において早期教育は有効
しかし、人生におけるほとんどのことは、同じ場面は現れない。不確定で複雑な世界に生きる場合、様々な知識や経験を活かす「幅」を持っていることが重要となる。
2章 「意地悪な世界」で不足する思考力
親切な場所「ルールや環境が一定で同じ場面が何度も現れる※ゴルフやチェス。スポーツもこれに近い」
意地悪な世界「ルールや環境が一定でなく、複雑で先の見通せない世界」
経験しないで学ぶ力が現代には不可欠。しかし、その思考力は不足している。人は大学で学んだことを活用しない職につく。大学では、今後使うことのない知識をかなり専門的に教えている。
かつて急速に近代化が進んだ村で実験をした。従来の人は経験に基づいてしか考えられなかった。
しかし、教育を受けた人は、問題を分類分けし、類推するなどして自分の経験外からも考えられた。
現代は複雑さを極めている。未知の問題に対して、今までの知識を複数組み合わせたり形を変えたりして仮説を立てて応用する力が必要になる。
考える力を身につけることが大切なのだ。
3章 少なく、幅広く練習する効果
高名な音楽家の例
音楽の世界では幼少から楽器を絞って専門的に練習するのが良いとされている。
しかし、中には全くの独学でいろいろな楽器を経験する中で有名になった音楽家もいる。
彼らが言うのは、大切なのはいろいろなことを試して問題の解決の仕方を学ぶことだ。
4章 早く学ぶか、ゆっくり学ぶか
結論 ゆっくり学ぶほうがよい
早く学ぶ、練習ですぐに結果が出るようにヒントを与えたり、解法を知り、それを応用するのでは、その場での成績は良いが、定着も応用も弱い。
学んだことをどう現実に生かして柔軟に考えるか。適切な困難があるなかで自分で頭を悩ませながらゆっくり学ぶことが長い目で見ると良い。
5章 未経験のことについて考える方法
未経験のことに対処するにはたいてい一つの経験からの直感ではうまくいかない。
複数の事例や経験を組み合わせて新しい解決策を見出さなければならない。
行き詰まったときにそのジャンルの外側から俯瞰する。まったく別の切り口が突破口となる
6章 グリッドを強すぎる問題
グリッド(やり抜く力)が強いと一般には良いと思われている。
しかし、忍耐力が強いがゆえに真の適性を見つけられないこともある。
転職をするのは真に自分に合っている職業に近づくことにもなるし、知識の幅にもなる。
ただ、単に大変だから辞めるというのは良くない。自分に合っていない、もっと自分に合う物などが見つかった時などは辞める決断をするべきだと言える
7章 いろいろな自分を試してみる
やってみるまでは自分が何ができるかなんてわからない。だからいろんなことに挑戦するんだ。
8章 時代遅れの技術を水平思考で生かす
水平思考とは、既存の考え方や技術を全く別の視点や物に当てはめて考えることだ。
水平思考にはさまざまな知識や経験が必要になる。
任天堂の例が紹介されている
9章 スペシャリストがハマる罠
終わりに 感想
この本ではさまざまな実例を用いてさまざまな経験や知識を得ることを推奨している。スポーツやチェスにおけるような型がありフィードバックを得られるような親切な環境でない世界を生き抜くにはそうした知識の幅が必要になる。スポーツですら幼少期はさまざまな経験をして最終的に専門競技を決めるのが良いとされる。ただし、さまざまな経験をするということは最初は専門特化の人に敵わないかもしれない。大切なのは「遅れを取ったと思わないこと」
いろんな挫折、寄り道、経験が自分を助ける力となる。